今回はExcelでセルを素早く移動できる「Ctrl+矢印」の実用的なテクニックを紹介します。使いこなすことでマウスを使用せずエクセルを操作できるようになるので、素早い作業を目指す方は特によく使うワザとして意識してみて下さい!
今回の内容
・移動のショートカット【Ctrl+矢印】
・行や列を利用したインデントの活用
・表の最後の行列の「次」に記号を入力
・Excelのショートカット習得の心構え
目次
移動のショートカット【Ctrl+矢印】
作業効率アップを目指すと、Excelでは基本的に矢印キーを操作し移動することになりますが、その中で最もよく使用するショートカットが【Ctrl+矢印】だと思います。【Ctrl+矢印】は、次の「入力されたセル」や「端」まで移動するショートカットで、以下のように動きます。

選択セルの初期位置を「a2」にした場合、一度【Ctrl+→】を入力すると「Day1」と入力されている右隣の「b2」に移動します。その後に再度【Ctrl+→】と入力すると「文字が入力されている最後のセル」である「Day4」と入力された「e2」まで移動します。
移動ショートカットの実践テクニック
行や列を利用したインデントの活用
実践的なテクニックとして、行や列を利用してインデント(階層)を作成することで、目的のセルに移動しやすくなります。例えば、財務モデルの作成における活用方法を見てみましょう。

上記のように、a列には「PL」「BS」など表のタイトルだけを記載し、他には何も入力しないようにします。すると、「PL」と入力された「a1」上で【Ctrl+↓】を押すと、次の「BS」と入力された「a9」まで一気に移動することができます。途中に何かが入力されたセルがないためです。
同じ考え方で、売上高や当期純利益など損益計算書や貸借対照表の「大項目」は「b列」に、売上原価などひとつ下のレベルの項目は「c列」に、というように、列に意味を持たせてうまく項目を配列してインデントを作っておくと、各列で【Ctrl+矢印】を使って行きたいセルに素早く移動することが可能になります(※)。
これらは本当に小ワザなのですが、テクニックとしては重要で、活用するかしないかで作業スピードが大きく異なります。知らなかった方は、ぜひ使ってみて下さい。
なお、ここまで縦方向の移動を列の工夫で行う説明をしてきましたが、同じように行の工夫で横方向の移動を素早く行うこともできます。
(※) あくまで参考ですが、筆者はインデントを作る部分の列の幅(上記のイメージであればa列とb列)を「2.00(25ピクセル)」に揃えることで、自分なりにわかりやすいインデントを作成しています。
表の最後の行列の「次」に記号を入力
もうひとつ、実践的なテクニックとして、表の作成時に「表の最後の行列」の「次の行列」に意味のない数字や記号を入力しておくと、表の最後まで一度に移動することができます。

例えば上記の場合、Day3まで入力された表の最後の列のすぐ右の「e列」に「0」と意味のない数字を入力しています。このようにすることで、表に何も入力されていない時、「a3」から【Ctrl+→】で表の右端の「e3」まで一気に移動することができます。厳密には表の最後の列は「d列」ですので、一列移動しすぎていますが。同じように「表の最後の行」の「次の行」に意味のない数字や文字を入れておくと、表の上から下まで移動できます。
上記の「Day1~3」と「AB」しか項目がない小さな表であれば、通常のカーソルで移動しても何も問題はないのですが(筆者でもそうすると思います)、表のサイズが大きくなるとこの工夫がとても便利になります。
なお、表の中(「b3」から「d4」まで)を埋めた後は、【Ctrl+矢印】で表の最後の行列の次の行列まで移動してしまうことが逆に不便になりえます(1セル行き過ぎてしまう)。ですので、表がきれいに完成したら記号は削除してしまっても良いかもしれません。

ちなみに筆者の場合は、上記のように表の終わりから「1列空白をあけて」意味のない数字や記号を入力します(筆者の場合は入力は「0(ゼロ)」と決めています。他の講師には「*(アスタリスク)」を入力する人もいます)。理由は、筆者は表の移動時に【Ctrl+矢印】を連打する習慣があり、このように配置すると「視界の端に0が見えたら必ず表の終わり」と認識できるからです。これはちょっとマニアックなやり方かもしれませんが、【Ctrl+矢印】を連打しがちな方は試してみてください(笑)。
その他の移動関連のショートカット
Excel作業では常に移動することになるので、移動関連のショートカットの活用は作業スピードの向上に直結します。例えば、以下のようなショートカットが代表的でしょうか。知らないものがあれば、試してみると良いかもしれません。
- 【Ctrl+矢印】 次の「入力されたセル」や「端」まで移動
- 【Shift+矢印】 選択しながら移動
- 【Ctrl+Shift+矢印】 上記の組み合わせ
- 【PageUp】 上画面に移動
- 【PageDown】 下画面に移動
- 【Ctrl+PageUp】 右シートへの移動
- 【Ctrl+PageDown】 左シートへの移動
- 【Home】 行の先頭へ移動
- 【Ctrl+Home】 A1へ移動
Excelのショートカット習得の心構え
今回は実務で役立つ移動のショートカットを簡単に説明しました。はじめはマウスの方が操作を早く感じるかもしれませんが、何回も繰り返し使い慣れてくるとキーボードでの操作の方が圧倒的に早くなるので、ぜひ使ってみて下さい。
このようにExcelのショートカットを学んでいく上で大事な心構えが3つほどあります。
- 習うより慣れる、真似る
- 自分に必要なショートカットを理解して覚える
- 自分の中に辞書を作り、必要な時に必要なものを取り出す
まず、Excelは勉強するよりも実際に触って動かす方がわかりやすいです(文字でブログ記事にすることと矛盾するかもしれませんが…)。Excelの使い方が上手な先輩の操作やわかりやすい動画の解説などをまずは真似てみましょう。
そして、役立つと思ったショートカットはしっかりと使い方を理解し、覚えてどんどん使いましょう。一方で、はじめからすべてのショートカットを覚えることは不可能です。 真似して触れたけれど、まだ必要のなさそうなショートカットは、自分の中の「辞書」にいったん収納しておきましょう。一度でも触れたショートカットは意外と頭の片隅に残っているものです。そして、実務で新しいテクニックが必要になったら、「こんな時に役立つショートカットがあったような…」と後から検索して調べて下さい。必要な時に必要なワザを取り出して覚えていくようにすれば、少しずつ生産性が向上していきます。
なお、実際に動画で解説を聞きながらExcelを動かして学びたい方のために、「Excelの操作と関数」というコースを用意しています。関心のある方はぜひコースページをご覧下さい。
ExcelのTipsは他にもいくつかブログで紹介したいと思っています。また別の記事でお会いしましょう。(執筆: 福西宗吾、藤波由剛)